民法改正による不動産賃貸への影響は? 賃貸借契約書編

民法改正による不動産賃貸への影響は? 賃貸借契約書編
 

民法(債権法)が改正されて1か月が経過しました。 新法に対応する賃貸借契約書のご準備はお済みでしょうか?

今回の民法改正は、ビル経営をされる上で、非常に重要な内容となります。 新しく追加した情報もございますので、2回に分けて改正に伴う賃貸借契約についての押さえておくべきポイントを新法の条文とともにご案内させていただきます。

民法改正の見直しの概要

120年ぶりに改正された民法(債権法)では、国民一般に分かりやすい民法とする観点から多数の判例、学説や解釈論が実務に定着しているものが明文化されました。 →対応箇所 1.賃借人の原状回復義務について、2. 敷金の返還について

また、「社会・経済の変化への対応」の観点から主に「消滅時効」、「法定利率」、「保証」に関して改正されました。(取引の複雑、高度化、高齢化、情報化社会の進展等) →対応箇所 3. 法定利率について 4. 連帯保証人が個人の場合の契約について

明文化と対応策について

具体的にどの条文が変わり、今後どのような対策をすれば良いか下記にご案内いたします。

賃借人の原状回復義務について

改正民法 第621条

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。 ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

改正に伴う具体的な対策

平成29年民法(債権関係)改正前は、原状回復義務については、改正前618条が準用する改正前598条において「借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。」と規定していました。 そのため、この度の明文化においては、賃貸借契約に原状回復工事基準を設定し、原状回復する部分を明確に合意しておくべきと考えます。

【賃貸借契約書条文例】

賃貸人が原状回復工事基準を別途定める場合は、これに従うものとする。

敷金の返還

改正民法 第622条の2

賃貸人は敷金を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。 一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。 二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。

改正に伴う具体的な対策

以下の通り返還時期を賃貸借契約書に記載することが有益と考えます。

【賃貸借契約書条文例】

(敷金) 本契約が終了した場合、乙が貸室を完全に明渡し、乙の債務に敷金を充当した後に、なお、残額があれば、明渡しの日の翌日から起算して〇ヶ月以内に乙に返還するものとする。

法定利率

改正民法 第404条

1 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。 2 法定利率は、年3パーセントとする。 3 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。

改正に伴う具体的な対策

以下の通り利率を賃貸借契約書に記載することが有益と考えます。

【条文例】

(遅延損害金) 賃貸人は遅延金額に対して年14.6%の割合で算定した損害金(日割り計算による。)を賃借人に請求することができる。

いかがでしたでしょうか? 今回の改正内容はこれまで使用されてきた賃貸借契約には既に織り込み済みかと思います。 そのために、旧法と新法との違いを明確にしてご説明をさせていただきました。 次回は、連帯保証人が個人の場合の契約についてご案内させていただきます。

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