近年、オフィス・店舗物件の賃料滞納リスク対策として「保証会社」の利用が一般化しています。
一方で、保証会社に加えて「連帯保証人」を求めるケースも少なくありません。
「保証会社を使っているのに、なぜ連帯保証人も必要なのか?」「それぞれどう違うのか?」
とお悩みのビルオーナー様も多いのではないでしょうか。
この記事では、オフィスや店舗の賃貸契約における「連帯保証人」と「保証会社」の違いを、法的な側面も交えて詳しく解説します。両者の役割や責任範囲を正しく理解することで、より適切なリスク管理が可能になります。
これから契約を検討している方や、既に契約に関わっているビルオーナー(貸主)様にとって、実務に役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
オフィス・店舗契約で連帯保証人と保証会社は両方必要か

法律上の義務はありませんが、事業用物件の契約では両方を併用するケースもあります。
背景として、事業用物件は個人居住用よりも賃料が高額で契約期間も長いため、貸主側が債権の保全や信用補完を重視する傾向があります。
特に、オフィス物件では月額賃料が数十万円から数百万円に及ぶケースも多く、万が一の滞納時のリスクが大きくなるためです。
連帯保証人と保証会社を併用することで、貸主側の安心感を高め、万が一の滞納時にも複数の回収ルートを確保できるのが主な理由です。
連帯保証人と保証会社(保証人)の違いとは

「連帯保証人」と「保証人」では、責任を負う範囲や法的効力に明確な違いがあります。
連帯保証人の役割と法的責任
連帯保証人は、借主(入居者)が支払えない賃料や原状回復工事費用など、賃貸借契約に記載されたすべての債務について、借主と同等の責任を極度額の範囲内で負います(連帯保証人が個人の場合)。
また、後述する「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」が認められていないため、保証人よりも責任が重くなります。
原状回復工事費用や違約金・損害金の支払い義務にも及ぶ可能性があります。
例えば、オフィス退去時に内装の原状回復が必要な場合、その工事費用が数百万円に及ぶケースもあり、これも極度額の範囲内で連帯保証人の責任となります。
※連帯保証人は、債権者(貸主など)から直接請求を受け、主債務者(借主)の支払い能力や財産の有無に関係なく、全額の返済義務を負います。
民法改正による連帯保証人のルール変更
2020年4月施行の改正民法により、個人が連帯保証人になる場合には「極度額(保証の上限額)」の設定が義務化されました。
書面で極度額が明示されていない場合、保証契約は無効となるため、契約時には必ず確認が必要です。この改正により、連帯保証人になる方の保護が強化され、予想外の多額の請求から守られるようになりました。
この変更による注意点としては以下の3つです。
・極度額は「賃料の○ヶ月分」ではなく、「○○万円」という具体的な金額で設定する必要がある
・極度額には、賃料だけでなく原状回復工事費用や損害金なども含まれる
・契約更新時に極度額を見直すことも可能
保証会社(保証人)の役割と法的責任
保証会社は借主が支払えない賃料や原状回復工事費用などについて、保証会社が定めた保証項目と範囲内で責任を負います。
貸主・管理会社にとっては賃料未収リスクの軽減、借主にとっては与信力(信用)の補完というメリットがあります。
保証人に認められる「抗弁権」とは

以下は、通常の保証会社(保証人)に認められる権利であり、連帯保証人には適用されません。
・催告の抗弁権
債権者(貸主など)が保証人(保証会社)に請求してきた場合、主債務者が破産や行方不明でない限り、保証人は「まず主債務者(借主)に請求してほしい」と主張できる権利です。
・検索の抗弁権
主債務者に返済できる財産があるにもかかわらず、主債務者が返済を拒んだことで保証人に請求があった場合、保証人は「主債務者には返済能力があるため、主債務者から返済してもらうか、主債務者の財産を差し押さえてほしい」と主張できる権利です。
・分別の利益
保証人が複数いる場合、それぞれが借入金の支払い義務を負うのではなく、保証人の人数で按分した金額だけを負担する権利です。
しかし、連帯保証人には抗弁権が認められていないため、連帯保証人が2名いても、それぞれが全額(200万円)の返済義務を負うことになります。
まとめ

連帯保証人は、主債務者と同等の責任を負う強力な保証人であり、法的にも重い義務を負います。
一方、保証会社は法人として保証範囲を限定し、支払い能力や回収体制が整っている点で安心感があります。
特に、オフィス・店舗物件に特化した保証会社の場合、事業内容や将来性を総合的に審査し、スタートアップ企業や外資系企業など、これまで入居判断が難しかったケースでも柔軟に対応できる場合があります。
契約時には「どこまで保証されるのか」「保証範囲や極度額が明示されているか」を確認し、貸主・借主双方にとって適切な保証体制を構築することが重要です。
また保証会社を選ぶ際は、単に審査の通りやすさだけでなく、保証内容の充実度、滞納時の対応力、実績なども総合的に判断することをおすすめします。事業用物件に特化した保証会社を選ぶことで、より専門的なサポートを受けられる可能性があります。
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