水銀による環境などへの影響から、2027年末までに順次、蛍光灯の製造および輸出入が禁止されることで、結果的にLED照明への移行が強く求められる状況になります。
LED照明は、蛍光灯に比べ寿命が長く省エネ性にも優れていることから近年普及が進んでいる照明です。これは「蛍光灯の2027年問題」としてオフィスや店舗、賃貸などで今注目されています。
本記事では、蛍光灯の製造・輸出入停止について解説するとともに2028年以降の蛍光灯の取り扱いやオフィスビルオーナー様がLED照明への切り替えを検討する際のポイントなどご紹介します。
LEDが求められる?

2027年末までに一般照明用の蛍光灯の製造・輸出入が終了
「蛍光灯の2027年問題」とは、2027年末に一般照明用の蛍光灯の製造・輸出入が禁止されることによる照明環境への影響の懸念を指します。水俣条約締約国会議の決定を受け、水銀使用製品である蛍光灯は2026年1月から種類ごとに順次廃止されていきます。具体的な廃止時期は以下の通りです。

参考:経済産業省「蛍光灯からLED照明への切り替えはお済みですか?」
蛍光灯の廃止により事実上LED照明への移行が必要になります。なお、蛍光灯の規制開始以降もすでに市場に出回っている蛍光灯の売買や使用は可能です。とはいえ、新たに製造されなくなるため、早い段階での対応を検討する必要があります。
LED照明への移行が進む背景
蛍光灯には微量ながら水銀が含まれており、廃棄や破損時などの健康・地球環境への悪影響が問題視されていました。これをうけ、2023年の「水銀に関する水俣条約 第5回締約国会議」においての2027年末までの蛍光灯の製造・輸出入の段階的な廃止が決定されたのです。一方、LED照明は水銀が含まれていないだけでなく、蛍光灯に比べ省エネ性が高く長寿命という特徴があります。環境負荷低減の観点から照明のLED化が推進されています。
蛍光灯はいつまで使える?

在庫にある蛍光灯は2028年以降も使える
2027年末に規制されるのは新たな製造と輸出入です。現在設置している蛍光灯の使用や、すでに市場に出回っている在庫の売買・使用は規制の対象とはなりません。
そのため、2028年以降も設置済みの蛍光灯を使用する、市場で購入して使用するということは可能です。
蛍光灯の価格が上昇する可能性がある
2028年以降も購入・使用できますが製造自体は止まっているため、蛍光灯の在庫は減少します。これにより、価格の高騰や入手自体が困難になる可能性があるでしょう。
また、入手が困難になれば蛍光灯が切れた、故障したといった場合に、交換できず照明不足から業務や生活に支障をきたす恐れもあります。
産業廃棄物として処分するためのコストが増大する可能性がある
交換などで事業所から廃棄された蛍光灯は産業廃棄物として処理する必要があり、適切な手続きが必要です。また、蛍光灯の規制にともない廃棄される蛍光灯の増加による処分費用の高騰の懸念もあります。
オフィスビルの照明をLEDに切り替える際のポイント
蛍光灯の2027年問題に適切に対応するためには、早い段階で計画的にLED照明に切り替えていくことが大切です。
早めに切り替えることでコストを抑えやすくなる
今後は、2027年末に向けての駆け込み需要などで蛍光灯の在庫減少・価格高騰の可能性が高く、切り替えが遅くなるほど蛍光灯所有のコストの増大の懸念があります。
一方、LED照明も需要増加に伴う価格の高騰や切替工事が集中し日程調整が難しくなる恐れもあるでしょう。
LED照明への切り替えが遅くなるほどコストがかかる恐れがあるので、早めの切り替えで余分なコストがかかるリスクを避けやすくなります。
また、LED照明は蛍光灯に比べ電気代削減効果が大きく、交換することで光熱費削減のメリットもあるため、トータルのコスト低減につながります。
照明器具をまるごと切り替えるのがおすすめ
既存の照明器具の種類によっては、工事不要でLEDランプだけでの切り替えも可能です。
しかし、不適切な種類や取り付けなどによる事故の恐れがあるので、工事不要の切り替えは慎重に行う必要があります。
また、蛍光灯器具には「安定器」が内蔵されていることが多く、長期間使用された安定器は劣化による発煙や発火のリスクがあります。
LEDランプのみ交換する場合でも安定器の状態確認が必要となるため、安全面を考慮すると照明器具ごと交換する方が安心です。
補助金や助成金を活用できる
照明のLED化は国が推進していることからも、国や自治体の補助金が活用しやすいというメリットもあります。
例えば、東京都では、中小企業等を対象としLED照明などの省エネ設備の導入経費の一定額を助成する「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業」で助成金を受けられる可能性があります。
ただし、補助金や助成金の適用期限や要件・補助額などは制度によって異なります。事前にホームページを確認する、プロに相談するなどして計画を進めていくとよいでしょう。
参考:東京都「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業 令和8年度は申請受付回数を年間6回に増やします」
まとめ|オフィスビルの照明は早めにLEDへの切り替えを検討しよう

2027年末で蛍光灯の製造・輸出入が禁止され、LED照明への移行が求められるようになります。
2028年以降も既存の蛍光灯の使用は可能ですが、在庫減少による価格高騰や入手できずに故障や交換に対応できないリスクが高くなります。
しかし、駆け込みや2028年以降でLED照明への切り替えを行うと、価格高騰や工事集中によるコスト増・対応の遅れなどのリスクもあります。
LED照明は、環境負荷が少ないだけなく省エネ性の高さや寿命の長さから、切り替えることで光熱費の削減や交換の手間の軽減などのメリットがあるものです。切り替えが遅くなるほどコスト増にもつながるため、計画的な切り替えを早い段階から検討するとよいでしょう。